舞臺は,南極の昭和基地から離れる事1000キロ,標高3800m,平均気溫マイナス54度,世界で最も過酷な観測地帯と言われる「ドーム基地」。生物はおろかウイルスさえも生存する事が許されない,地の果てである。この物語は,第38次隊の7人の「南極観測隊」の話である。7人のうち3人が研究者。後の4人は設営隊員(サポート要員)である。しかし,結局は,ただの7人のオジサンである。そんな,ただの7人のオジサンが,狹いドーム基地で1年間を一緒に暮らすのだ。このドーム基地での楽しみといえば,みんなで美味しい料理を食べる時のみ。それ以外の,楽しみはほとんどない。あるのは,厳しさ?過酷さ?息苦しさ?ストレス?不安?心細さ。極限狀況であるが,逃げる場所もなければ,頼る人も隊員以外にいない。そんなシチュエーション,蚊帳の外から見れば滑稽でしかないのだ。日本では考えられない事件が起こるが,最後は,主人公の西村隊員の美味しい料理を食する事で,7人が再び1つになっていく。実にダサくて,カッコよくて,でもバカバカしい,7人のオジサンの予測不可能なコメディドラマである。